小学校5〜6年生頃には金魚の飼育に興味を持ち、学校からの帰りに露天の金魚屋を毎日のように覗き、すくって得たものをいくつもの鉢に泳がせ、何度も見入っては楽しんでいました。しかし、狭い鉢に多くの金魚を入れ、すぐに死なせてしまいながら、また次の日に持って帰り死なせるということを繰り返し嫌な思いをしながら、母親に知れないようにコッソリと溝へ流しに行ったものです。今となってはなぜ、死ぬと分かりながら同じ事を繰り返したのだろうと不思議に思われます。金魚を飼いたい、欲しいという欲だけが先に立ち、後のことが実感としてつかめない欲張り坊主だったのです。 これだけ何度も嫌な思いをすれば、普通の人ならこの趣味は止めるのですが、中学へ入った頃に金魚の専門家の池を見せて貰い、刺激されて一層気持ちが深まっていきます。広い池があれば育つだろうと煉瓦とセメントを買ってきて池作りが始まります。1㎡〜2㎡の広さで本格的に飼い始めるようになりました。 間もなく金魚の種類や数も増え、狭い庭に池も7つに増えました。金魚の種類はらんちゅうやオランダ等が中心で、飼い方もプロのやり方を見よう見まねで覚え死なせることなくうまく育つようになったのです。飼育の腕が上がるにつれ、趣味家の池を見せて貰ったり、品評会を見に行ったり、ますます心は燃えていきます。その内に自分でも卵を孵化させることができるようになると、金魚に釘付けの日々がつづきます。そして、本で幻の金魚(秋金)がいたことを知ると復元したくなり、記述通りのらんちゅうとオランダの交配に成功します。 らんちゅう × オランダ ↓ 秋金 卵が孵ると餌のゆで卵の黄身作りや田んぼへのミジンコ取り、親魚の糸ミミズ取りと忙しくなります。何処へ出かけるときも、自転車に餌取り用のビニール袋と割り箸をぶら下げて行ったものです。ところが、年々溝が整備されて糸ミミズが取れなくなり、汽車で買いに行かねばならなくなり、池の狭さや日当たりの悪さに失望感が出始めます。 収集遍歴 『心はサボテン公園』 へ続く